ITにも考古学

ども。
先週末、またひとつ年を取った担当ちゅんです。

ネット上に興味深い記事を見つけました。

1980年代には「COBOLは衰退するので、ほかのプログラミング言語に移行しなければならない」などと言われた。しかし、銀行、保険会社、製造業、小売チェーン、医療機関といった大企業のミッションクリティカルなシステムは依然として大昔にCOBOLで書かれたコードによって運営されている。多くの企業はこれらのシステムを何度も入れ替えようとしたが、システムが全体が巨大で複雑な上、重要なビジネス・プロセスに統合されていること、また問題なく動いていることからこうした取り組みの多くは失敗した。

ITWORLDの記事によると、こうしたCOBOLで書かれたシステムを支えてきた団塊世代プログラマの引退が近づいているという

「COBOL」というのは、事務処理用に開発されたプログラミング言語。当町の基幹系(税・戸籍などの主要業務)では別なシステムで運用してきていますが、まあ、似たようなものです。また、同業者どおしで話をしていて「うちは未だにCOBOLで自主電算」なんてのも耳にしたことがあります。これに対しては、別の文献で次のように紹介されていました。

自治体における情報化に関する組織体制は、情報化の歴史とともに変化してきた。
当初、大量の定型業務の処理を行うために大型コンピュータを導入した大規模な自治体では電算課という主管部署を設け、主にコンピュータの運用や保守が業務を行った。自治体の中には電算課内の職員が自らCOBOLでプログラムを作成し、情報システムを開発した事例もあり、税、給与等の各主管課と共同でプロジェクトチーム等を作成する場合もあった。もちろん、当初は電算処理を外部に委託している自治体が多かったため、電算課のような情報化担当部署を設置する事例は少なかったが、コンピュータの自己導入が増えたことによって、設置する自治体も徐々に増えていった。

さて、引用ばかりでずいぶんと文字数を稼いでしまいましたが、ここからが本題です。
当町でも、次年度以降、いわゆる「基幹系システム」の更新に向けた業務が本格化していく予定です。長年使い続けてきた汎用コンピュータベースのシステムから、最新の「自治体クラウド」に対応するシステムへと大転換を図っていきます。

それで、最初に引用した記事では「組織の中にCOBOLを扱える人がいなくなることが問題だ」とされていますが、実は問題はそこだけではないような気がしています。と思って読んでいたのですが、同記事のコメント欄に、同じように考えている方の秀逸な投稿がありましたので、またまた引用します。

本当に必要なのは、COBOLを扱える人じゃなくて、
COBOLで書かれた業務を把握している人なのであります。

業務を把握している人がいなくなる前に何とかしてください……

まさに、これだと思っています。当町のシステムも、長年、担当者が変わりながらも徐々にノウハウを蓄積して今に至るという「職員が流した汗の結晶」のようなもの。これを、新しいシステムに移行しようとすると、まずは技術的な部分よりも前に、そもそもどんな業務があって、システム上ではどんな処理がされているのか、というところの把握が絶対に重要なんです。でも、大昔にカスタマイズされた部分などは、もはや誰も知らないもの=ブラックボックス化してしまっています…。

ずいぶんと長々書きましたが、要するに「どこの世界にも同じようなことで悩んでいるSEはいるなあ」と、そういうことでございます。ITにも考古学者が必要な時代がきっと来ますね。

COBOL
何十年も基幹系を支えてきたCOBOLは、ある意味ではすごい言語です。

(投稿者:ちゅん)


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